「松枯れ対策に“体調異変"の声
2008.08.20.22:01
毎日放送Voiceから転載
http://www.mbs.jp/voice/special/200808/18_14611.shtml
今回は、松枯れ被害の対策で健康被害の声です。
兵庫県福崎町で行われた、農薬の空中散布。
松林を守るためという理由なのですが、その直後に体調の異変を訴える住民が次々と現れました。
空中散布との関連はあるんでしょうか。
<健康被害を訴える長沢丈氏さん>
「風が流れたときは、ぶ〜んとここまで山の上から来るから。5日間ぐらいは苦しかった、寝ていてもせきが出たり」
兵庫県福崎町に住む長沢丈氏さん、80歳。
農業をしながら、生計をたてています。
<長沢丈氏さん>
「山のギリギリ、ずっと向こうまで。木すれすれに飛びますよ」
長沢さんが体調不良を訴えたのは、町の「ある事業」の直後でした。
それは、松枯れを防ぐために行われた農薬の空中散布です。
もともとアレルギー体質の長沢さんは、松林の近くに住むため、農薬がまかれたときは自宅の窓を閉めていました。
ところが、直後に外出したところ、体に異常を感じたといいます。
<長沢丈氏さん>
「においがしますからね。なんとも言えんにおいがプ〜ンと。目のかゆみも多少は出ます」
なぜ、松枯れ対策に農薬が必要なのでしょうか。
松枯れの原因はマツクイムシによるものとされていて、これを退治するために、いまから30年前、全国各地で農薬の空中散布が始まりました。
福崎町でも毎年、空中散布が行われるようになり、今年も6月4日と24日の早朝、広範囲にわたり実施されました。
体調不良のほかにも問題があるといいます。
長沢さんは米の無農薬栽培もしていて、その水はすべて松林近くのため池から引きいれています。
これでは、無農薬の意味がありません。
<長沢丈氏さん>
「(池の)上で空中散布やったら、まともに入るから困っている」
長沢さんの体調不良は農薬が原因という科学的な根拠はありませんが、異常を訴えた住民はほかにもいました。
兵庫県議員の丸尾議員が周辺住民にアンケートをしたところ、めまいや頭痛などの体に異常を感じた住民が複数いたことがわかりました。
<アンケートに対する回答より>
「窓を閉めていても家族の出入り、わずかなすきまから入ってくる農薬で体調を崩します」
<兵庫県議会みどりの風・丸尾牧議員>
「今回の結果から、被害を受けている人もいるし、有害であると判断すべき」
一方で、昔から松に愛着の深い福崎町では、住民の反応もさまざまです。
<近くの住民>
「散布のにおいがするだけで、別に影響といっても…。松が枯れるから、(農薬を)まく方がいい」
「山の緑を守らないといけない。農薬は必要と思う」
------------------------------------------
ただ、福崎町のほかにも農薬の空中散布後に健康被害が出たケースがあります。
島根県出雲市では今年5月、松枯れ対策にフェニトロチロンという薬剤を空中散布したあと、小中学生や付近の住民、1,000人以上が目のかゆみや頭痛を訴えました。
出雲市は、調査委員会を立ち上げるとともに、今年の農薬散布を取りやめる決定を下しました。
これを受けて福崎町は、薬剤の種類を人や環境に与える影響が少ないとされるチアクロプリドというものに変更しましたが、丸尾議員は問題の解決にはつながらないと反対します。
<丸尾牧議員>
「大量に広範囲に農薬を散布している実態は、なにも変わっていない。十分な取り組みではなかったと判断している」
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被害を拡大しかねない農薬の空中散布。
その安全性と必要性について、福崎町の考えを聞いてみました
<福崎町産業課・三輪理知係長>
「40メートル近い高さの木に(農薬を)かけるのを想定すると、空からまかざるをえない。メーカーの資料によると、『飲まないかぎり危険がない』と書かれています」
これに対し、広島大学の中根教授は、薬剤を変更したところで人体に影響を与える可能性があると指摘します。
<広島大学大学院生物圏科学研究科・中根周歩教授>
「ネズミを使った効果実験では、肝臓障害や発ガン性が記録されている」
そもそも、福崎町が松林を守る最大の理由は防災面で、急斜面でも育つ松は土砂災害を防いでくれるといいます。
<福崎町産業課・三輪理知係長>
「松でないと根が浅くて持ちこたえられないだろうという場所では、松を重視せざるをえない」
しかし中根教授は、マツクイムシを退治しても松枯れの根本的な解決にはならないと主張します。
<広島大学大学院生物圏科学研究科・中根周歩教授>
「(原因は)松の衰弱です。主に大気汚染。数十年かけて、松の活力を弱くしている。いくら農薬をまいても(松枯れは)止まらないし、効果があったということもない」
1977年から
全国で農薬の空中散布が
始まったものの、
直後に松枯れが
急増したことをしめすデータもあります。
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一方で、空中散布を取りやめる自治体も少なくありません。
松林に囲まれた近畿の水がめ・琵琶湖を抱える滋賀県では、1991年から空中散布を禁止しました。
<滋賀県森林保全課・大塚修参事>
「薬剤ですので、必ずしも無害と言えない。環境への負荷を配慮して中止した」
現在、近畿で松枯れ対策として空中散布を続けているのは兵庫、奈良、和歌山の3県ですが、空中散布された延べ面積を比較すると、兵庫県が4,600ヘクタールと圧倒的に広く、実は全国で最大の数字なのです。
こうした状況を受けて、丸尾議員たちは8月18日、兵庫県と福崎町に対して農薬の空中散布の見直しを求める申し入れ書を提出しました。
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農薬の空中散布の直後におきた健康被害。
たとえ、被害を訴えているのが一部の住民だけであったとしても、空中散布がその原因だとすれば、行政の責任が問われかねません。
http://www.mbs.jp/voice/special/200808/18_14611.shtml
今回は、松枯れ被害の対策で健康被害の声です。
兵庫県福崎町で行われた、農薬の空中散布。
松林を守るためという理由なのですが、その直後に体調の異変を訴える住民が次々と現れました。
空中散布との関連はあるんでしょうか。
<健康被害を訴える長沢丈氏さん>
「風が流れたときは、ぶ〜んとここまで山の上から来るから。5日間ぐらいは苦しかった、寝ていてもせきが出たり」
兵庫県福崎町に住む長沢丈氏さん、80歳。
農業をしながら、生計をたてています。
<長沢丈氏さん>
「山のギリギリ、ずっと向こうまで。木すれすれに飛びますよ」
長沢さんが体調不良を訴えたのは、町の「ある事業」の直後でした。
それは、松枯れを防ぐために行われた農薬の空中散布です。
もともとアレルギー体質の長沢さんは、松林の近くに住むため、農薬がまかれたときは自宅の窓を閉めていました。
ところが、直後に外出したところ、体に異常を感じたといいます。
<長沢丈氏さん>
「においがしますからね。なんとも言えんにおいがプ〜ンと。目のかゆみも多少は出ます」
なぜ、松枯れ対策に農薬が必要なのでしょうか。
松枯れの原因はマツクイムシによるものとされていて、これを退治するために、いまから30年前、全国各地で農薬の空中散布が始まりました。
福崎町でも毎年、空中散布が行われるようになり、今年も6月4日と24日の早朝、広範囲にわたり実施されました。
体調不良のほかにも問題があるといいます。
長沢さんは米の無農薬栽培もしていて、その水はすべて松林近くのため池から引きいれています。
これでは、無農薬の意味がありません。
<長沢丈氏さん>
「(池の)上で空中散布やったら、まともに入るから困っている」
長沢さんの体調不良は農薬が原因という科学的な根拠はありませんが、異常を訴えた住民はほかにもいました。
兵庫県議員の丸尾議員が周辺住民にアンケートをしたところ、めまいや頭痛などの体に異常を感じた住民が複数いたことがわかりました。
<アンケートに対する回答より>
「窓を閉めていても家族の出入り、わずかなすきまから入ってくる農薬で体調を崩します」
<兵庫県議会みどりの風・丸尾牧議員>
「今回の結果から、被害を受けている人もいるし、有害であると判断すべき」
一方で、昔から松に愛着の深い福崎町では、住民の反応もさまざまです。
<近くの住民>
「散布のにおいがするだけで、別に影響といっても…。松が枯れるから、(農薬を)まく方がいい」
「山の緑を守らないといけない。農薬は必要と思う」
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ただ、福崎町のほかにも農薬の空中散布後に健康被害が出たケースがあります。
島根県出雲市では今年5月、松枯れ対策にフェニトロチロンという薬剤を空中散布したあと、小中学生や付近の住民、1,000人以上が目のかゆみや頭痛を訴えました。
出雲市は、調査委員会を立ち上げるとともに、今年の農薬散布を取りやめる決定を下しました。
これを受けて福崎町は、薬剤の種類を人や環境に与える影響が少ないとされるチアクロプリドというものに変更しましたが、丸尾議員は問題の解決にはつながらないと反対します。
<丸尾牧議員>
「大量に広範囲に農薬を散布している実態は、なにも変わっていない。十分な取り組みではなかったと判断している」
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被害を拡大しかねない農薬の空中散布。
その安全性と必要性について、福崎町の考えを聞いてみました
<福崎町産業課・三輪理知係長>
「40メートル近い高さの木に(農薬を)かけるのを想定すると、空からまかざるをえない。メーカーの資料によると、『飲まないかぎり危険がない』と書かれています」
これに対し、広島大学の中根教授は、薬剤を変更したところで人体に影響を与える可能性があると指摘します。
<広島大学大学院生物圏科学研究科・中根周歩教授>
「ネズミを使った効果実験では、肝臓障害や発ガン性が記録されている」
そもそも、福崎町が松林を守る最大の理由は防災面で、急斜面でも育つ松は土砂災害を防いでくれるといいます。
<福崎町産業課・三輪理知係長>
「松でないと根が浅くて持ちこたえられないだろうという場所では、松を重視せざるをえない」
しかし中根教授は、マツクイムシを退治しても松枯れの根本的な解決にはならないと主張します。
<広島大学大学院生物圏科学研究科・中根周歩教授>
「(原因は)松の衰弱です。主に大気汚染。数十年かけて、松の活力を弱くしている。いくら農薬をまいても(松枯れは)止まらないし、効果があったということもない」
1977年から
全国で農薬の空中散布が
始まったものの、
直後に松枯れが
急増したことをしめすデータもあります。
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一方で、空中散布を取りやめる自治体も少なくありません。
松林に囲まれた近畿の水がめ・琵琶湖を抱える滋賀県では、1991年から空中散布を禁止しました。
<滋賀県森林保全課・大塚修参事>
「薬剤ですので、必ずしも無害と言えない。環境への負荷を配慮して中止した」
現在、近畿で松枯れ対策として空中散布を続けているのは兵庫、奈良、和歌山の3県ですが、空中散布された延べ面積を比較すると、兵庫県が4,600ヘクタールと圧倒的に広く、実は全国で最大の数字なのです。
こうした状況を受けて、丸尾議員たちは8月18日、兵庫県と福崎町に対して農薬の空中散布の見直しを求める申し入れ書を提出しました。
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農薬の空中散布の直後におきた健康被害。
たとえ、被害を訴えているのが一部の住民だけであったとしても、空中散布がその原因だとすれば、行政の責任が問われかねません。
